2018年3月4日日曜日

【特別企画】Special Interview with Armand Serra from Crazy Pig Designs: Nö Regrets at All vol.1

ロンドンのコヴェントガーデンにスカルをモチーフにしたシルバージュエリーを扱う店がある。その店の名はCRAZY PIG DESIGNS(クレイジーピッグデザインズ)。1992年3月4日にオープンし、今日までの26年間、オーナーでデザイナーのアーマンド・セラはスタンスを変えることなく、スカルやロックをモチーフにしたジュエリーを作り続けてきた。今回は26周年記念ということで、アーマンド本人にインタビューを敢行。彼にCRAZY PIG設立時の思い出やデザインについて語ってもらった。


―まずは創業26周年おめでとうございます。昨年CRAZY PIGは25周年という節目の年を迎えました。一言で言い表すのは難しいと思いますが、どのような心境ですか。

アーマンド・セラ(以下 A):もう26年か。私たちは東京店のプロジェクトや昨年のクリスマスラッシュでとても忙しくて、1年経つのが早かった。時の流れはあっという間だね。

―26年前、ロンドンで店舗をオープンさせたきっかけは何だったのでしょうか。オープンした日のことを覚えていますか。

A:ああ、とてもよく覚えている。私はGREAT FROGでデザイナーとして10年間過ごしたが、それはとてもアンハッピーなものだった。だから、どうしても自分の店をオープンさせたかった。自由にデザインするためにね。前の店を92年の1月に退職し、CRAZY PIGを3月4日に開店させた。2ヶ月もしないうちにだ。かなり大変な作業だったけど、楽しい時間で、やっと自由を見つけたって感じだったね!それはもはや仕事というよりも楽しみだったし、今もそうだ。

―26年の中で特に印象に残っている出来事は何ですか。

A:たくさんあり過ぎるよ。だけど、ジュエリーをキース・リチャーズに持って行ったことかな。あとはエリック・クラプトン、ジョージ・ハリスン、ビリー・ギボンズ(ZZ TOP)、リック・ニールセン(CHEAP TRICK)、オジー・オズボーンらと店で会ったこと。『ハリー・ポッター』の映画会社から依頼があったこと。オーランド・ブルーム、ミッキー・ローク、ニコラス・ケイジらが来店したことはいい思い出さ。それから、私が作ったスカルリングのひとつ(Flat Skull & Cross Bones Ring)が大英博物館に収蔵されたこともあった。とても誇りに思うよ。

―この26年間、たくさんのアイテムがリリースされましたが、そのアイディアはどこから来るのでしょうか。

A:私はトレンドやファッションを追うことはしないし、他人がやることのコピーはしない。全てのアイディアは私の頭の中にあり、時間と共にそれらをジュエリーにする。私にはたくさんのリストがあり、それを実行するつもりだ。デザインすることや新しいデザインを作ることは私にとって容易なことなんだよ。みんなが私のジュエリーを長い間着けて楽しんでくれたらと思うだけさ。

―確かにあなたのジュエリーにはオリジナリティがあります。CRAZY PIGはロンドンの店舗兼工房で製造するというスタイルを26年間守り続けています。多くのブランドは事業拡大のために販売店を増やし、大量生産を行っていますが、CRAZY PIGはそうしたことをしていませんよね。

A:ブランドというのは店舗を増やした途端にクオリティが下がる。なぜなら、作業場が工場(大量生産のための場)になってしまうからだ。それはもはやデザインスタジオではない。私はあらゆる段階をコントロールできる方を好む。巨大な指輪から小さなパーツのひとつまで自分でデザインし、実際に作る。何でも自分でデザインして、実際に作っている。それらの原型が完成したら、それを型取りして自分たちの工房で鋳造する。品質管理のためにひとつひとつのパーツをチェックした後、それぞれを手作業で仕上げる。それから店内にディスプレイする。東京店へ送るアイテムも同様の工程で作業しているよ。

―なるほど。ではこれだけ長い間、CRAZY PIGがシルバージュエリーブランドとして生き残った理由は何だと思いますか。

A:さっきも言ったようにトレンドを追わないことだ。年齢や性別、いかなるスタイルの区別をせず、私という個人の中にあるものをデザイン化する。私のモットーは「ジュエリーは人生や旅を飾り、護るもの」だ。私のジュエリーはその通りだろう。ジュエリー(装飾品)というものは、先史時代から今日までいつの時代も男性や女性にとって重要なものだったからね。

といったように、アーマンドは過去のことからCRAZY PIG設立、シルバージュエリーの製作やデザインについて語ってくれた。とりわけ、いつも音楽やギターに熱中している彼がジュエリーについて熱く語ったのは珍しいかもしれない。次回につづく。■■
(Shuhei Hasegawa)

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