2018年3月10日土曜日

【特別企画】Special Interview with Armand Serra from Crazy Pig Designs: Nö Regrets at All vol.2

 前回に続いて、CRAZY PIGのデザイナー兼オーナーであるアーマンド・セラのインタビューをお届けする。前回はCRAZY PIG開店時の思い出やシルバージュエリー製作について語ってもらったが、今回は人生、音楽、昨年オープンした東京店、ジュエリー製作者へのアドバイスにまで話題が及んだ。
 今年3月で自身のブランドCRAZY PIGが26周年を迎えたが、そもそもアーマンドの人生はドラマチックだ。彼はフランスで生まれ育った後、ギタリストを目指してロンドンへ渡った。アルバイト先でたまたま作ったスカルリングが好評を博し、92年に自身のブランドショップをオープンさせたという異色の経歴の持ち主だ。そのことについて聞いてみた。

―あなたの人生はまるで映画や小説の主人公のようです。自分の人生について何か運命のようなものを感じたことはありますか。

アマンド・セラ(以下 A):そうだね。私の人生において、非常に多くの素晴らしい人々と出会ったことはとても興味深いものだった。著名な人もそうでない人もね。自分の人生に関して、これっぽっちも後悔はないよ!まあ、すべてのストーリーを理解するために本でも書く必要があるだろうな。

―ブランド創立26年が過ぎてもあなたは健康で人生を楽しんでいます。この26年間で考え方やライフスタイルに何か変化はありましたか。

A:自分がまだ20歳なんじゃないかと思うことがあるよ。年を重ねたけど、物の考え方は変わっていない。長年、ベジタリアンとして健康を気にかけているし、音楽を楽しんでいる。仕事さえもね。それらは私にとって変わらないものだよ。

―今後も変わらずにまだまだ走り続けそうですね。音楽といえば、あなたのもうひとつのライフワークであるギターコレクションが『GUITAR EXP』という本になりました。反響はどうですか

A:ああ、素晴らしい反響があった。多くの雑誌やミュージシャン、それからミュージアムまでもが興味を持ってくれた。でも、今は別のプロジェクトがあるんだ。ニューアルバムのレコーディングをほとんど終わらせたところさ。これは2枚組になるかもしれないな。LED ZEPPELIN、BLACK SABBATH、VAN HALENといったような感じさ。メンバーはスチュアート・ハム(MSGなどで活躍したベーシスト)、ジョナサン・モーバー(セッションドラマー)、それと素晴らしいシンガーだ。彼らはジョー・サトリアーニやスティーヴ・ヴァイとプレイしたこともあり、素晴らしいミュージシャンだよ。今年の終わりごろにはリリースできるんじゃないかな。

―3rdアルバムのリリースとは思ってもみない話題で驚きました。さて、昨年11月にCRAZY PIGの東京旗艦店がオープンしました。あなたはオープンイベントのために来日しましたが、初めての日本はいかがでしたか。日本のファンはあなたに会える日を長年待ち望んでいました。

A:私にとって初めての日本だった。東京がとても気に入ったよ。すごく清潔ですべてが完璧にまとまっていた。それに皆が礼儀正しい。ロンドンとは全く違う街だった。今後、観光もしてみたいね。それから、ファンはとても素晴らしかった。皆がもてなしてくれて、会話を楽しんだ。そう、キミと一緒にね。多くのファンが来店してくれたので、皆に十分なお礼をすることができなかったのが残念だよ。

―東京店のオープン初日、多くのファンが詰めかけ、あなたが日本でとても人気があるジュエリーデザイナーだということが改めてわかりました。CRAZY PIGが設立されてから26年間、あなたは多くの人々に影響を与えています。そして、あなたのように成功を夢見る若者もたくさんいます。あなたに憧れている若い世代に、デザイナー、職人、そしてアーティストとしてのアドバイスはありますか。

A:アドバイスするとしたら・・・他人のデザインをコピーするようなマネはしないってことだ。それはスタイルとかアイディアを含めての話だ。他人のコピーはどこまで行ってもコピーでしかないからね。自分自身を表現するような、自分だけのスタイルをデザインすることが一番重要だ。音楽に例えると、ジミ・ヘンドリックスはまさにオンリーワンの存在だった。ジミをコピーしようとしていたその他のギタリストなんて誰も興味ないだろ?70年代後半に私がロンドンにやってきた時、「ロックなジュエリー」なんてものは存在しなかったけど、私はそれを生み出した。常に音楽に囲まれていたし、まさに NWOBHM(New Wave Of British Heavy Metalの略。1979年ごろにイギリスで起きたメタルのムーブメント)の真っただ中にいたからね。とにかくその手のミュージシャンたちが私の作ったジュエリーを着けたがっていたよ。これが私のスタイルで、有名になれた理由さ。

―その通りです。あなたのジュエリーはオンリーワンで、それはあなたの中にあるものを表現しているからに違いありません。ゆえに音楽と結び付いているのでしょう。さて、次は30周年、40周年、それから東京店の1周年ですね。今後も活躍を期待しています。最後に日本のファンにメッセージを。

A:新店舗である東京店では、全てのデザインを見ることができるので、ぜひ一度訪れてみて下さい。ロンドンのCRAZY PIGや私と直接やりとりをしているから、今までのようにオーダーで何ヶ月もお待たせするようなことはないでしょう。日本のファンはとても義理堅いので、私も誠実に取り組み、より良いサービスを皆さんに提供します。皆さんありがとう!

このインタビューを通して、アーマンドが言いたかったことは「自分らしく生きる」ということだろう。そのように生きてきたからこそ、「少しも後悔はない」と言えるのに違いない。他との違いを恐れず、コピーや真似ではなく、自分の中にあるものを表現する。これは彼のようなアーティストでなくても、すべての人々や生き方に当てはまるはずだ。また、前作から約15年ぶりとなる3rdアルバムがリリース準備中であるという情報には驚いた。今から楽しみに待ちたい。
最後に丁寧かつ誠実に回答してくださったアーマンド・セラ氏に感謝します。■■
(Shuhei Hasegawa)

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