2020年1月21日火曜日

「OUTLAW」アーマンド・セラへのインタビュー PART IV

大好評(少なくとも私の周りでは)の英国の新音楽誌「OUTLAW」でのクレイジーピッグのアーマンド・セラへのインタビューの紹介、パート4です。

その1: https://crazypigdesignsjapan.blogspot.com/2019/11/outlaw.html
その2: https://crazypigdesignsjapan.blogspot.com/2019/12/outlaw-part-ii.html
今回は、いよいよ彼のヴィンテージ・ギター遍歴が語られます。70年代のヴィンテージ・ギター事情(当時は”ヴィンテージ”などと呼ばれることはなかったそうです!)など、ヴィンテージ・ギターの愛好者には非常に興味深い内容です。そしてアーマンド・セラの新バンド(バンド名も初公開!)に関するニュースにも触れます。そして自らの作品(ジュエリー)を通じて親しくなり、ついに共演を果たすことになる豪華なメンバーも明かされます。

アーマンド・セラはこの5年、彼のバンドの新アルバムのレコーディングに費やしてきた。バンド名は「Mudhog」、英国人シンガーのスティーヴ・アントクリフ、そしてベースとドラムにはスティーヴ・ヴァイやジョー・サトリアーニとプレイしたストゥ・ハムとジョナサン・ムーバーというラインナップだ。「ヴァン・ヘイレンにレインボー、そしてブラック・サバスが合わさった感じかな」セラは言う。

セラによるとロックミュージックは1970年代のフランスを迂回していったようだ。ロックなライフスタイルについては特に。「その頃のフランスでは誰もクラシックなギターになんて興味はなかった。レスポールやストラトを探すのはとても難しかったよ」セラはジミー・ペイジやZZ TOPのビリー・ギボンズのような、美しい年代物のギターを使っていた英国やアメリカのロックスターを羨望の眼差しで見つめていた。セラは「年代物の古いギターの質は本当に良かったんだよ。彼らはそれを知ってたんだね」と言った。

状況はセラが渡英すると一変した。中古楽器店やMelody Maker(欧州の音楽誌)の”楽器売ります”のコーナーなどでヴィンテージギターを手頃なプライスで簡単に見つけることができたのだ。セラ曰く「まあ、その時はまだ”ヴィンテージ”なんて呼ばれてなかったけどね」

セラがロンドンにやってきて最初に買ったのはフィエスタ・レッドの1963年製フェンダー・ストラトキャスターだった。彼はこのギターのために£3,000の大枚をはたいた。「こんな大金を使ってしまったのをすぐに後悔したよ」セラが告白する。「でも、すぐにこのギターを£4,500で売ってくれって話があったんだ。そう、5割増しでね。でも売らなかったよ。その代わり、その人物の54年製レスポールと交換したんだ。これが自分にとっての最初のヴィンテージ・ギターだね」

こうして購入やトレードを繰り返し、彼のギターコレクションは順調に充実していった。最初に購入したロックスターゆかりのギターは、60年代のプロコム・ハルム時代にロビン・トロワーが所有し、実際に弾いていた59年製レスポールだった。

セラは、フェンダーのストラトキャスターには、自身が”弾く”ということを学んだギターということもあり、とりわけ深い思い入れがあるようだ。そして彼はある日、決断する。ストラトが誕生した1954年から、彼の好きな1975年までに製造された各年代のストラトをコレクションとして蒐集することを。今日、彼はストラトだけで50本以上を所有している。「最低でも各年で1本、年によっては2,3本は集めたよ」セラが言った。

他の大多数のコレクターとは異なり、セラはヴィンテージ・ギターのディーラーや仲介者を使うことを拒む。彼は何度も偶然に貴重なヴィンテージ・ギターや機材と出会ってきた - あるパンクバンドのドラマーがそれとは知らずに腰を掛けていた、エリック・クラプトンのオールド・マーシャルを£200で購入したような -

しかし、多くはセラが長年築き上げてきた情報ネットワーク - ローディー、ギター・テクニシャン、エンジニア、そしてギター仲間など - を通じて、彼が興味を持ちそうなギターやその他の機材の情報が彼の元にもたらされる。セラのお宝ともいえるジミ・ヘンドリックスのストラトキャスターを手に入れるには25年もの歳月を要した。「誰があのギターを持っていたのかはずっと知ってたよ。でも彼はそれを売ってはくれなかったんだ。彼は”死の床につくようなことにでもなったらこいつを売ることになるだろう”と言ってたよ」

セラが所有するギターのすべてが完璧なコンディションというわけではない。セラはリッチー・ブラックモアが所有したストラトキャスターを持っているが、彼が言うには「あのギターはリッチーによってかなり使い込まれてボロボロだったよ。でも、ディープ・パープルやブラックモアのような曲を書いて、そのような音が欲しければこのギターを使うよね」

ギターを購入する際に、その価格に関してセラは分かりやすいほどに用心深くなる。「妥当で正しい価格を払うよ。40年以上ギターを集めてきて、どのくらいが正しい価格か分かるようになったんだ」セラは、楽器を不当に高い価格で販売したい人々からの電話を受けることがある。「彼らは”幾らいくら欲しい!”っていうんだけど、”はいはい”って言ってさっさと電話を切るんだ」

セラは他人のコレクションに嫉妬することはないと主張する。「ジョー・ボナマッサはものすごいコレクションを所有しているけど、うらやましいとは思わないね。もし自分がロイヤル・アルバート・ホールで10日連続の公演をやるとしたら、彼と同じようにやるだろうね」

セラは2種類の名刺を持っている。一つはクレイジーピッグでもう一つはギターコレクターとしてのものである。セラは言う「ギター・オタクに会った時は、後者の名刺を渡すんだ。これらの名刺は使い分けてるよ。ギター・オタクは面倒な人々になり得るからね」

時としてジュエリーとギター、両者の領域が重なり合うこともある。知人の紹介でセラがローリング・ストーンズのリハーサルに招待された時のことだ。セラがキース・リチャーズのギターに聞き惚れていると、彼が歩いてセラの方にやってきた。このローリング・ストーンズの6弦奏者はセラの手にある指輪と財布から垂れ下がるチェーンを見ると、これらはセラが自分で作ったものかと訊いてきた。それからほどなく、ウェンブリーでのストーンズのギグのバックステージにてキース・リチャーズに6つのウォレットチェーンを見せていた。セラが回想する「彼は一つを試すと、その次、またその次と試していった。そして"この6つ、全部もらうよ"と言うと、近くにいた男性を指差して"支払いはこいつがするから"って言ったんだ」

いかがでしたか?かなりのボリュームで読みごたえがあったのではないでしょうか?次回は再びジュエリーの話に戻ります。お楽しみに!

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